歯科を出発点とした抗加齢医学・分子整合栄養に取り組んでいます

「オーソモレキュラー・デンタル」

は、『健康増進・アンチエイジング型歯科医院』である森永歯科医院・院長の森永宏喜の情報発信活動をご紹介するサイトです。

著書や出版物への寄稿のほか各種セミナーのご案内、アメブロやフェイスブックでの投稿のうち重要なものなどもご紹介していきます。

「豊かな生活・人生」を手に入れるための「カギ」が「歯とお口の健康」だということが次第に明らかになってきています。
 当サイトではそれを実現するために分子整合栄養医学(オーソモレキュラー)療法ベースにした抗加齢医学の情報をご提供していきます。

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点滴療法研究会10周年記念 特別セミナー

☆5名の演者の一人として講演します

9月4日 ベルサール三田

「点滴療法研究会が考えるアンチエイジング」

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第1回 OMDセミナー

「栄養療法が歯科臨床を変える」

栗木安弘+森永宏喜+伊藤夕里亜

10月30日 10時~16時半

オフィス東京 L2会議室 東京駅八重洲中央口より徒歩5分 東京都中央区京橋1丁目6番8号 コルマ京橋ビル 

詳細・お申し込み(準備中)

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点滴療法研究会ワークショップ(2016年1月17日・都内三田)




ジョイントセミナー 予演会
2016/06/22

今日は週末のジョイントセミナーの予演会でした。

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私はスライド約60枚、約45分で時間間配分はほぼOK、三幣管理栄養士はスライドを少し手直し、巻きを入れるようです。

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機材・資料の準備も予定通り進んでいて、あとは当日の段取りをしっかり確認します。ご参加の皆様にお目にかかるのを楽しみにしております。

東洋経済オンラインの記者さんに、最後に要望されたこと
2016/06/22

皆様こんにちは。
栄養を科学する抗加齢歯科医
森永宏喜です。

 

今日、メジャーニュースサイトである

東洋経済オンラインに

「歯周病」と「認知症」の切っても切れない関係

というタイトルで記事を掲載して頂きました。

 

2016-06-14 (1)

 

「東洋経済オンライン」は日経BP、プレジデント

オンライン、ダイヤモンドオンラインなどを凌ぐ

月間ページビュー1億6千万という

物凄いサイトです。

 

東洋経済の記者、T氏とある集まりの

懇親会でお話したのは1ヶ月ほど前。

わたしが歯科医でアンチエイジングに

取り組んでいることをお話すると興味を

示してくれました。

 

なかでも「歯周病と認知症の関係」という

のは意外だったらしく、熱心に聴いて

いただけて

 

「ぜひ東洋経済オンラインに寄稿してもらえませんか」

 

というオファーを頂くことができました。
このテーマに関しては成書はもちろんのこと、

国内外の文献もかなり研究していましたので

文章自体は比較的スンナリとまとめることが

でき、三千字余りの原稿をお送りしたのです。

 

すると1週間ほどでT氏から連絡があり、

こんな要望をされたのです。

 

「森永さん、学術的なデータは豊富なんですが、これだと実感として響きにくいです、事例が欲しい」

 

ということでした。確かに自分の身近な

問題として捉えるには実際にハッピー

エイジングを謳歌している方のエピソード

が大事ですね。

 touyoukeizai

 

 

そこでお送りしたのが当院に通うHKさんと

SSさんの話題。この事例を入れることで

しっかり地に足がついた文章になった

ように思います。

さすがプロの編集者だなあ、と感心した

次第です。

どんな事例だったかは、東洋経済オンライン

の記事をご覧下さい。

 

「歯周病」と「認知症」の切っても切れない関係

 

☆検査で「異常なし」なのに、

あなたはなぜ不調なのか?

アンチエイジング専門歯科医が

教える『本当の健康』を

手に入れるためのメール講座
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第5回 アンチエイジング・ジョイントセミナー
開催決定!(参加費無料)

「歯と認知症の意外な関係を解き明かす」

森永宏喜(米国抗加齢医学会認定医)

定真理子(新宿溝口クリニックチーフカウンセラ)

イベント1

6月26日 13時~16時

(千葉県南総文化ホール・館山市)

詳細・お申し込みフォーム

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☆5名の演者の一人として講演します

9月4日 ベルサール三田

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点滴療法研究会10周年記念 特別セミナー
「点滴療法研究会が考えるアンチエイジング」

 

母校の卒後研修会にて講演しました
2015/10/01

少し前の話になりますが、8月30日、母校の東北大学歯学部の卒後研修委員会のトップである同期の篠原 誠先生にオファーを頂き「歯科領域の栄養療法」についてお話させて頂く機会を得ました。

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参加者の大部分の皆さんには初めてのお話で、戸惑いすら覚えたのではと想像します。
無理もないことです。私が初めてこの世界の情報に触れた時もそうでしたから。なので

「そういう視点で自分の患者さんをみてみようか」

という印象を少しでも多くの方に持って頂けたなら成功だと思っています。

「2015年にあのテーマを取り上げたのは先見の明があったね」

と篠原先生の評価が上がるようにこれからも動いていきたいと思っています!

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(画像提供 松崎 宏明先生)

「米国抗加齢医学会 認定医」として認証されました
2015/09/25

Webを色々やっていると、自分のプロフィールを載せているところは沢山ありますよね。先日はその書き変えに追われていました。 

ABAAHP

思い立ってからは2年近く経つでしょうか、認定医取得計画はA4M(米国抗加齢医学会)事務局から取り寄せた電話帳のようなテキストに愕然とするところから始まりました。気を取り直して準備にかかり、今年5月のマレーシアでの筆記試験を経て各種の英文書類をそろえて申請、ようやくAmerican Board of Anti-Aging Health Practitioners(ABAAHP)の認定を受けることが出来ました。 

2016-06-21 (1)

ABAAHP取得者はやはり合衆国が圧倒的に多く、学会のディレクトリから調べた範囲ではアジア・オセアニアでは5人めくらいのようです。 これから日本人でも増えていくと良いなと思います。

顔面の筋力トレーニングの是非 様々な立場から
2015/08/25

私は日本抗加齢医学会の専門医なので、年に4回、学会誌が送られてきます。抗加齢医学の最新情報が満載ですが、その中でも楽しみな記事が「誌上ディベート」です。ひとつのテーマをめぐって、抗加齢医学をベースにしながらも分野・立場の異なる専門家が「是」と「非」の立場で見解を披露します。

最新号で特集されていたのは「顔面の筋力トレーニングの是非」

2016-06-13

 歯科領域では、顔面の表情筋や咀嚼筋(そしゃくきん、かむための筋肉)などのエクササイズは若返りや摂食嚥下(食物を食べ、飲み込むこと)の面から強く推奨されていて「パ〇△ラ」などの専用器具も開発されています。またそれだけでなく、鼻呼吸とセットにすることで免疫力の向上や各種の病気の改善なども期待されていて「◇い▽べ体操」などはかなり普及してきていますね。いま私たちの領域で「顔面エクササイズ」を否定する人は少数派といっていいでしょう。

ところがこの誌上ディベートでは美容外科がご専門の先生が「表情筋の運動は顔面のシワを増やす。老化に伴う筋の拘縮(縮んで衰えてしまう)を助長するので推奨できない」とのご意見。

「外見をとるか、機能をとるかの問題か」と思われる方もいるでしょう。ところが抗加齢医学の立場からするとコトはそう単純ではないのです。

現在でもアンチエイジングというと「無理やり若返る美容外科のことね」と否定的な面のみ強調する向きもありますが、外見を整えることの効果は心理面にも及んできます。そしてメンタルの向上が免疫力などもアップさせる(逆に言うとネガティブなストレスは強烈に老化をすすめる)ことは多くの研究で示されていることです。

ということは、「身体だけでなくメンタルの健康が長生きにつながる」ということを理解していないと「美容外科など邪道だ」とばかりに表面的な判断をしてしまうおそれがあるのです。

自分の専門分野だけにとらわれることなく、多面的な見かたが出来るところがこの学会の醍醐味でもあります。

 
脂質制限と糖質制限 ~不安に駆られる必要なし~
2015/08/20

 学術雑誌 Cell Metabolism(2015年8月13日オンライン版)に発表されたNIH(米国立衛生研究所)傘下の研究者による肥満の男女19人を対象とした研究で,「糖質制限よりも脂質制限の方が体脂肪減少に有効」との結果が示されました。この研究は外来で行うのではなく,参加者に入院(2週間×2回)してもらい,毎日の食事内容から身体活動まで厳格な管理の下で実施されたRCT(ランダム化比較試験)です。
 RCTは論文のエビデンスレベルとしては高く、また掲載の「Cell」も学術雑誌として高い格式があります。糖質制限に批判的な方は「それみたことか」を思われるかも知れません。ですが、以下にあげるようにこの調査は厳格な研究デザインをとったが故に、現実の食生活に当てはめるには限界があるものです。

Cell 糖質と脂質制限比較入院

 

1) 低脂質食(RF)、低糖質食(RC)はともに実験期間の前半に摂取するベースラインの食事(炭水化物50%、脂質35%、タンパク質15%)から800kcalを減らす研究デザインですが、蛋白の摂取量を変えすにこの減少量をそろえるために、RCは結果的に糖質を180g/日近く摂取することになっています。これは脂質が持つエネルギーが9kcal/gであるのに対し、糖質はその半分以下の4kcal/gですので避けられないことです。一般的に厳格な糖質制限は糖質が1食20g以下、「ゆるやかな」糖質制限で1食40g程度といわれています。1日3食としても「ゆるやか」の1.5倍の糖質摂取というのは、低糖質ではあっても種々の「糖質制限」をベースとした食事法とは少し違うのではと考えます。

2) 現在、ダイエットや糖尿病などの改善のために「適切な糖質制限」をしている皆さんは、糖質量を減らしているだけではありません。脂質の量だけでなく、必ずタンパク質の摂取量を増やしています。この調査では「糖質と脂質の比較をする」のが目的なので、精度を上げるためにそれ以外の要素は極力同じにしています。精度を上げようとした結果、現実に営まれている食生活からはかえって離れてしまっている感があります。

3) そして何といってもこの調査結果を私たちの食生活に直ちに当てはめられない理由は、その比較期間が「わずか6日間である」ということです。これは著者も認めていて、「今後の研究に活かす有益な情報が得られた」と書いています。低糖質食では脂質の燃焼は増えていますが、本格的にケトン体をエネルギー源とした代謝が回り始めるには、糖質を控えてから2週間ほどかかると言われていますから、中長期に糖質制限を実践している人の実態を反映しているとは言い難いと思われます。

結局、この論文の内容から「低脂肪食の方が『各種の糖質制限食』よりも脂肪を落とすことができる」と結論づけることは出来ないのです。糖質制限に批判的な方は安易な引用を控えて頂けると有難いですし、「適切な」糖質制限を実践されている方は不安に駆られる必要はないと思います

脂質栄養学会「コレステロール ガイドライン」を改めて読んでみる
2015/07/24

アメリカ政府の「食生活ガイドライン諮問委員会」は今年(2015年)、「コレステロールの摂取制限は必要ない」という報告書を提出しました。また日本の厚労省が4月に発表した「日本人の食事摂取基準2015年版」からも一日あたりの摂取量を定めた「コレステロールの摂取基準」は姿を消しています。

ここに来て一気に「食物のコレステロール」の考え方が変わったようにもみえますが、実はこれを裏付ける研究成果は10年以上前から数多く出てきていて、日本脂質栄養学会は2010年に「長寿のためのコレステロール ガイドライン」を発表しています。

そこには現在主流になりつつあるコレステロールへの考え方がほぼ過不足なくまとめられていて、まさに「時代がようやく追いついた」という感じです。改めてその内容を確認してみたいと思います。

 

1)コレステロール摂取量を増やしても血清コレステロール(TC)値は上がらない

 

これまで、コレステロールは「食べなければ血中濃度を下げることができる」と考えられていたため、それを多く含む食品を避ける指導がされてきました。中でも1個に約250ミリグラムのコレステロールを含む卵は「1日1個まで」という話が「常識」となっていました。

図2

 

しかし、これを否定するデータは2000年にすでに出ていて、「卵を多く食べる人のほうがむしろTC値が低い」という結果です。コレステロールのうち7割は体内で作られ、3割が食物からといわれていて、多く食べるとその分体内での合成を止めてしまいますからトータルでは増えるどころかむしろ減るらいなのです。ですから「コレステロールが心配だから」と優れたタンパク源である卵を食べないのはおススメできません。

図1

 

2)植物性の油は、がんや心疾患を防げない

「植物性の油を多く摂り、動物性脂肪とコレステロールの多い食品を控えれば動脈硬化を防ぐことができる」という栄養指導が長い間されてきました。ところがこのような食生活はむしろ狭心症や心筋梗塞、各種のがんなどを増やす恐れが高いことが2010年時点ですでに明らかになっていました。、1か月程度の短い期間の調査結果を、長い年月の積み重ねである慢性の病気の予防に当てはめようとしたところに問題があったのです。
実際、古い食事指導が正しいことを確かめようとした「ヘルシンキビジネスマン研究」は期間が経つにつれ死亡者が急増し、倫理的問題から中止せざるを得なくなりました。
 

図3

 

3)家族性高コレステロール血症(FH)を一般論にしてはいけない

 「TCが高いと心臓の病気が増える」という報告がありますが、そのような研究では、調査対象に遺伝によりTCが高くなる「家族性高コレステロール血症(FH)」の方が多く含まれていました。そのために「TCが増加するにつれ心臓病による死亡が増える」という結果が出ていましたが、そもそもの調査対象の決め方に問題があったことになります。
 さらに、遺伝に異常のない40歳代以上の方に限っていえば、TC 値が高い方ががんによる死亡率や総死亡率が低いという結果も出ています。死亡率が低い、つまり長寿であるかどうかという意味では「TCが高いほうが長寿」ということになるのです。

図4

 

4)スタチンでは心臓病を減らせない

循環器の学会での治療方針(ガイドライン)ではLDLコレステロール(いわゆる「悪玉」と呼ばれているもの)を減らすスタチン系の薬剤が心臓病予防に有効とされていますが、その根拠になっている論文は2004年以前の古いものです。2010年時点での研究ではスタチンのそのような効果を証明することはできませんでした。むしろスタチンの重大な副作用である横紋筋融解症や、各種ホルモンやコエンザイムQ10(Co-Q10)などが作られにくくなることが問題となっています。
遺伝的に問題がない調査対象では、LDLや中性脂肪が高いほうがむしろ長寿という調査結果も出ていて、安易にそれらを下げる治療はすすめられません。

 

5)脳卒中はTCが高いほうが予防できる

この50年の間に、日本人の動物性食品の摂取量は大きく増えました。そのためTC値は上昇してきましたが、脳梗塞や脳出血などの脳卒中は逆に減ってきました。コレステロールは血管の強度や柔軟性を保つためにとても大事な栄養素なのです。脳卒中を起こした人の8 割以上は、TC 値(LDLコレステロール値)あるいは中性脂肪値の低い人です。一方、バターやココナッツオイルなどの飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量が多い人のほうが、脳梗塞などの虚血性脳卒中の死亡率は低くなっています。
ですから、これらの数値が高いというだけの理由で投薬治療をするのはおすすめできません。強い酸化ストレスによって「過酸化脂質」が生じて、初めて動脈硬化などの原因となるのです。2015年時点でも「LDLを下げたら心臓病が減った」という信頼性の高い研究データは存在しません。

 

6)オメガ6系脂肪酸を減らしオメガ3系脂肪酸の摂取を増やすことで動脈硬化やその他の病気を防ぐことが出来る

一般的な植物油に多く含まれるリノール酸などのオメガ6系脂肪酸は炎症を促進します。それに対し、魚油のEPAやDHA、植物性のアルファリノレン酸などのオメガ3系脂肪酸は炎症をおさえて動脈硬化などの病気を防げことが分かっています。現代人の摂取バランスは圧倒的にオメガ6が多く、その比率を1:1になるべく近づけることをおすすめします。

また多くの植物油は動物実験で腎障害などが報告されていて、人での安全性は確立していません。これに対し、動物性脂肪(飽和脂肪酸)やコレステロールは長期的には TC 値を上げず、炎症を促進せず有害作用もありません。肥満にならない範囲で、動物性脂肪やコレステロールは安全であるといえます。

 

ガイドラインのうち大事な点だけを補足を入れながらまとめましたが、5年経過した現在でも全く古びていないどころか、正しさが次々と証明されている感じですね。原文を参照されたい方は以下からどうぞ。

http://jsln.umin.jp/pdf/guideline/guideline-abstractPDF.pdf

さて、日本動脈硬化学会も2015年5月、「コレステロール摂取量に関する声明」を発表し、「食事で体内のコレステロール値は変わらない」と認めました。

「意識的に難解に書いたのか」というような文章ですが、コレステロールを抑える医療を認める根拠としてはどうなのかなと思います。

http://www.j-athero.org/outline/cholesterol_150501.html

 

(図表は金城学院大学オープンリサーチセンター「脂質栄養学の新方向とトピックス」より引用)

【ゆるやかな糖質制限のメリット ~DIRECT試験から~】
2015/07/16

当院では患者さんの指導の基本は「ゆるやかな糖質制限」です。ごく単純にいえば「一食あたりの糖質量が40g程度」ということになります。どうしてその量なのかという理由はいくつかあります。

1)糖質量をを1日20g以下に絞るいわゆる「スーパー糖質制限」で長続きする人は比較的少ない。マジョリティを巻き込んでいくためには適当な糖質の量。取り組む側も、指導する側も楽。

2)この量の糖質を摂っても蛋白と脂質を必要量しっかり摂取していれば糖質制限のメリットを十分享受できる。

などが主なものです。

「理論的な安全性などは大丈夫なの?」とご心配の方のためにピッタリな調査研究があります。以下の内容をフェイスブックに投稿したところ沢山の質問を頂きました。皆様の関心の高さがうかがえますね。

ゆるやかな糖質制限のメリット ~DIRECT試験から~】

ご存知の方も多いかと思いますが、糖質制限食に関する有名なRCT(無作為ランダム化試験)研究であるDIRECT試験についてお話したいと思います。
出典は The New England Journal of Medicine で医学雑誌としては世界最高峰です。NatureやScienceと同格とみなされています。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0708681

※RCTとは、調査が不正確になりそうな要素を出来るだけ排除して行う研究のことです。たとえば薬の効きめを調べるときには本物のクスリとニセ薬を使って比較しますが、飲む人が「これは本物だ」と知っているとそれだけで「効きそうだ」と思い込んで「効いてしまう」ということが起きます。ニセ薬と知っていると効果を評価する医師は「どうせ効かないよ」と思って診察しますので診断が正確にできない恐れがあります。ですから本物かニセ薬かは服用するヒトも、評価する医師も知らない状態でないと具合が悪いのです。

この試験では調査対象を3つのグループに分けて比較しています。各グループは平均BMIが約31、8割が男性ということですので日本人に当てはめると結構肥満体型です。

1)低脂肪グループ
 ♂1800kcal、♀1500kcal/日のカロリー制限、脂質3割以下、飽和脂肪酸10%以下、コレステロール300mg/日以下

2)地中海食グループ
 ♂1800kcal、♀1500kcal/日のカロリー制限、脂質35%以下を目標、30~45gのオリーブオイル、20g以下のナッツ

3)低糖質食グループ
当初2ヶ月は1日20gの糖質、維持期には1日120gに徐々に増加させる。摂取カロリー、タンパク、脂質に制限はない。
まさに「緩やかな糖質制限」です。

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低糖質食の当初2ヶ月の体重減少が大きいが、ここはスーパー糖質制限を実施している。 維持期に入り徐々に体重は戻っていくが、それでも3群のなかでは最も減少幅か大きい。

 

これらの三つのグループを2年間にわたり追跡調査しました。その結果、体重減少が最も大きかったのは低糖質食グループでした。低脂肪食グループは全くメリットがありませんね。

脂質関連の調査もされています。調査期間の中でHDLの増加、中性脂肪の減少、総コレステロール/HDL比(LDL/HDL比に近いと考えていいでしょう)の減少などで低糖質食は良い結果を出しています。「ゆるやかな糖質制限」のメリットは大きいといえるでしょう。

 

2年比較

 ちょっと難しかったかも知れません。また折を見て解説したいと思います。

 
スタディグループSKNセミナー
2015/07/14

もう先月のことになりますが、埼玉県朝霞市にて長年の友人である田代素子さん(DH・Orthomolecular Nutrition Professional)のコーディネートでスタディグループSKNセミナーに招聘頂き、丸1日歯科と栄養療法、抗加齢医学についてお話させて頂きました。

通常の流れでは各論の栄養素のお話を詳しくするところです。ですが今回は冒頭の「抗加齢医学総論」に全体の1/4の時間を割きました。そこには明確な目的があります。

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日本抗加齢医学会での抗加齢医学の定義は「元気で長寿を享受することを目指す実践的・理論的科学」とされています。そこで重要視されるのは健康寿命を延ばすための知識はもちろんのこと、それを踏まえた上での「生活習慣の行動変容です。その最前線にいるのが今日受講して下さった歯科衛生士の皆さん。

メタボリックドミノの最上流に位置し、未病の患者さんの日常に介入することが出来るのは通常の疾病治療をする医科ではなく歯科医療従事者です。そのための手駒、引き出しを増やすことに幾らかでもお手伝いが出来ればという思いでプレゼンさせて頂きました。臨床に真摯に向き合っている彼女たちが「歯科と栄養」という切り口を得たとき、クライアントに提示できる選択肢は大きく拡がることでしょう。それが歯科の存在意義を一層高めることに繋がると信じています。

【オリーブオイルとナッツ、地中海食】
2015/07/12

米国抗加齢医学会(A4M)ニューズレターより。
日本人にとって「週に1リットルのEVオリーブオイル」というのはなかなか現実的ではありませんね。ナッツは出来そうですが。
オリーブオイルの効果が主成分のオレイン酸であると短絡的に解釈しないことが重要です。
*以下抄訳*
認知機能の悪化と脈管障害の進展には酸化ストレスが大きな役割を果たしている。疫学調査によれば、抗酸化力が高く、血管保護的な地中海食を摂ることにより認知機能の低下を緩やかにすることが知られているが、これを裏付ける臨床試験のエビデンスは欠けていた。スペインのグループはこれを確認するため心血管系に問題があるものの認知機能が健康な447人を対象にRCT(ランダム化比較試験)を施行した。
患者を「週に1リットルのエキストラバージンオリーブオイルを含む地中海食」、「1日30gのミックスナッツ(ウォーナッツ、ヘーゼルナッツ、アーモンド)を含む地中海食」「低脂肪を助言するのみの対照群」の3群に分け調査したところ、前の2群は対照群と比較して前頭型及び総合的な認知機能が有意に改善していた。
著者は「我々の調査結果は、このような食事は加齢に伴う認知機能の低下に立ち向かえる可能性がある。他に効果的な方法がないとき戦略的な実施を検討してもよい。更なる調査が必要だ」と結論している。

A Mediterranean diet supplemented with olive oil or nuts may help to improve thinking, learning, and memory.
WORLDHEALTH.NET
日本アンチエイジング歯科学会 第10回記念大会が終了
2015/05/18

日本アンチエイジング歯科学会 第10回記念大会が終了しました。今回も松尾会長をはじめ理事・実行委員の先生方のご尽力で楽しく、華やかであったと同時に貴重な勉強をさせて頂きました。

演題を拝聴し、また多くの皆様とお話させて頂いて改めて感じたのは「アンチエイジングは意識改革であり、また行動改革である」ということです。いくら知識を得てお題目を並べても、自らがそれを実践できなければ何も始まらないし、またクライアントの「行動変容」というアウトカムが実現しなければそれは所詮「絵に描いた餅」でしかありません。

 

抗加齢医学では、術者側・指導者側でコントロールができる領域は思いのほか狭いということです。美容外科では術者のメスさばきは当然重要ですが、身体内面からの栄養学的サポートが無ければ長期的安定は望むべくもありませんし、食事にしても「糖質が太る」と解っていても依存から抜けられない方を何人知っていることでしょう。自分自身や、自分が属するチームがクライアントを実際に動かせる「引き出し」をどれだけ持っているか。それを常に意識して増やしていく努力が私たちには求められているのだろうと思います。

 

アンチエイジングの分野でも、歯科が置かれている状況は微妙であり難しい局面も少なくないのは残念ながら事実です。ですがメタボリック・ドミノの階層を考えると「従来の一般医科」よりも「全身の健康を意識した歯科」が上層に位置するのは確実です。つまり健康寿命の延伸に貢献できる度合いが大きいのはむしろ歯科なのだろうと考えます。それを意識出来ていない、あるいは単に「知らない」歯科関係者のなんと多いことか。

 

学会員である以上は一般の皆様向けはもちろんのこと、歯科関係者に向けても継続して情報発信するスタンスを持つことが求められているのだろうと思います。

 

第3回 栄養・アンチエイジングジョイントセミナー その5
2015/03/30

二つの講演がおわり、質疑応答の時間となりました。

聴衆の皆さんからどのような質問が出るか、また出ないのか。これはその日の自分の講演が興味を持って聴いて頂けたのかどうかの大事な目安となります。

余り簡単な内容でも満足感はないですし、といって難しすぎる内容を話してしまっては集中力を保って聴いてもらうことは出来ません。今回のように歯科医師・歯科衛生士・管理栄養士などの専門家と一般の方が混ざっている場合はなおさら工夫が必要になります。

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幸い、多くの質問を頂くことが出来ましたし、当日の講演以外の話題もでて充実した時間となりました。

これでプログラムは終了です。後片づけをしつつさらに多くの皆様とお話しすることが出来ました。後日診療のためいらっしゃった患者さんの一人も

「分かりやすくて面白かったですよ」

と言って下さりとても嬉しかったです。

今回のジョイントセミナーは3回目ということもあり、スタッフの皆はこれまでの経験を生かしてとてもスムーズに運営をしてくれたと思います。私は講演の準備に専念することが出来とても有難かったです。改めて感謝したいと思います。

そして遠方から、またお忙しいところご参加頂いた皆様、ありがとうございました。このセミナーは当院のコンセプトを表現する上で大事な柱となっています。これからも続けていきますので宜しくお願い申し上げます。

 

第3回 栄養・アンチエイジングジョイントセミナー その4
2015/03/17

私が今回選んだのは「腸内細菌と免疫力、そして歯周病」でした。現在の医学界で大きな注目を集めているテーマなのですが、お口の健康にも大きな関わりがあります。

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歯の丈夫な人は医科を含めた医療費全体が低いとの統計が多くの研究機関から発表されており、健康寿命の延伸には口腔内の状態を整えることが非常に重要となっています。
中高年以降に歯を失う原因のトップは感染症である歯周病で、免疫力が低下しないよう注意する必要がある。

免疫力向上のカギは腸内環境にあり、乳由来の糖タンパクのラクトフェリンなどのプレバイオティクス、アミノ酸のグルタミン、食物繊維などの摂取が重要。必要な栄養素を確保するためには糖質の過剰摂取を避け、肉や魚などの動物性たんぱくをしっかりとることがカギとなる。健全な栄養吸収を妨げるものとしてピロリ菌感染がある。

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最新の治療では3DSシステムなどを用いたも可能になってきている。歯周組織の回復には「食後高血糖」を避ける必要があり、ある程度の目安となる血液検査データも存在する。
海外の最新の研究では血中コレステロールと食物には因果関係がないとの報告もある。コレステロールの上限値についても学会間で論争になっており、自分の健康を守るために情報を収集する姿勢が大事。

私の持ち時間は70分でしたが、実はこれは中途半端な時間です。駆け足で話すには少し長く、じっくりと話すのなら最低120分は必要です。ご参加の皆さんの興味、集中力が途切れないように話すには経験と度胸が必要。まだまだ努力の余地は大きいです。

それでも何とか話をまとめ、講演は無事終わりました。これから質疑応答です。

第3回 栄養・アンチエイジングジョイントセミナー その3
2015/03/13

定先生の話に引き込まれていると時間はすぐに過ぎ、休憩時間となりました。今回は以前の2回と違い、定先生が前半、私が後半の順序にしました。定先生と参加者の皆様が触れ合える時間を増やすためです。

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著書の展示販売も実施しましたので、サインをもらえた方も多かったはず。15分はやや短いですが時間の関係上やむを得ず休憩は終了。私の出番となります。

第3回 栄養・アンチエイジングジョイントセミナー その2
2015/03/06

定先生のレクチャーが始まりました。

 

「聴衆の腑に落ちるための話し方」というのを私もいつも考えていますが、間近で良いお手本を見せていただくのはとても勉強になります。知識をただ詰め込むように話しても、専門家ならともかく一般の方々の「明日からの行動・実践」にはつながりません。流すスライド、じっくり解説するスライド、決められた時間の中で自由自在に話をまとめるのは流石の手腕です。

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お話をまとめると、

「老化防止のためにもタンパク質は毎日しっかり摂取することが大事。1日に体重1kgあたり1~1.5gが必要。植物性タンパクだけでは必須アミノ酸がうまく揃わないので肉や魚、卵などをバランスよく。様々な不定愁訴、子供の不登校・引きこもりなども鉄などのミネラルやタンパク質の不足が関係していることが多い」

ということになります。動物性タンパクを摂ることは鉄・亜鉛などのミネラル補給の面でも非常に有利です。ご自身の体験(不妊治療)なども交えた講義は説得力にあふれるものでした。

第3回 栄養・アンチエイジングジョイントセミナー その1
2015/03/03

いよいよセミナー当日となりました。小雨のぱらつく生憎の天候となりましたが朝に医院に集合し、会場の南総文化ホールに向かいます。3回目ということもありスタッフの皆の動きはとてもスムーズ。最初の準備段階から言えることですが、私は最終的な裁可を下すだけで講演のことを考えれば良いだけでした。

順調に準備も整い、講師の定先生の到着を待ちます。

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素晴らしいお花も頂戴し、会場の雰囲気も華やかになりました。

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お昼過ぎに定先生も到着しました。昼食をサッと済ませて打ち合わせ。いよいよ開場です。

(つづく)

あと1週間
2015/02/21

 

 

 

いよいよジョイントセミナーが1週間後に迫ってきました。第1回より地元の各メディアにはプレスリリースを発行していますが、今回も地元紙が告知記事を掲載してくださいました。しかも1面です。
やはり地元では認知度の高い新聞ですのでかなりの反響があり、「紙面を見た」という相当数のお申し込みを頂くことが出来ています。
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またフェイスブックからの参加もちょっとした工夫をしたためもあり、県内北東部の山武・匝瑳(そうさ)といった当地までの交通が相当不便な地域からも申し込みを頂きました。会場の館山市まで来ていただくには東京に行くよりも時間がかかる場所です。
県外は東京、横浜、そしてあっと驚く遠隔地から(これは当日まで内緒です)も来ていただけます。有難いと同時に「期待に応えなくては」というプレッシャーも感じてきています。

千葉県
とはいっても、配布用原稿はすでに印刷にまわしてしまっており大幅な内容の変更は不可能。あとは如何にプレゼンをするかということですから落ち着いて準備を進めたいと思います。

抗加齢医学は121兆円を生む?!
2015/01/24

抗加齢(アンチエイジング)医学というと、とかく美容などの外見だけを整えたり、年齢重ねることに逆らって不自然な手段をとるなどという、ある意味ネガティブなイメージで捉える方が現在もいるようです。ところが、抗加齢医学を社会科学的、あるいは医療経済的観点から考えると、私たちに莫大な経済的恩恵をもたらす可能性があることに気づきます。

A4M

 

2009年にアメリカ抗加齢医学会(A4M)が連邦政府に対して勧告した「Twelve-Point Actionable Healthcare Plan」はそれを具体的な数値で示したものとして興味深いものです。

提言はその冒頭でこう述べています。

 

「合衆国をはじめとして、いま世界はかつて経験したことのない高齢化に直面している。わが国での6大疾病(慢性肺疾患、虚血性心疾患、脳卒中、肺がん、肺炎、そして消化管疾患)による65歳以上での医療費コストおよび生産性の喪失は、2007年だけで1960億ドルに上っている。これから掲げる施策を実施することは社会学的にも経済学的にも、そして高齢社会の中で個人に発生する派生効果の面でも緊急に必要なものである。そして個々の施策は ”今現在この状況で”必要なものであり、合衆国の進歩的な健康政策を変容させ世界的な高齢化に挑戦するものである」

 

12の項目を列挙します。

 

  1. 臨床現場ですぐに実施できる検査
  2. 老化と健康に関するバイオマーカー
  3. 2年に一度の無料の包括的代謝検査
  4. 遠隔医療による相談システム
  5. 老化を制御する薬剤
  6. 幹細胞、ナノテクノロジー、遺伝子工学
  7. 個別的な遺伝子検査とニュートリゲノミクス
  8. ジム、スパ、デトックス、身体的リハビリ施設の無料化または助成
  9. 老化制御に関するオンライン電子データベース
  10. 無料のオンライン医学教育
  11. 抗加齢医学の世界センターの設置
  12. 有閑階級の存在

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これらの施策を実行に移すことで、なんと3兆6400億ドルという途方もない金額が節約でき、また個人ではのべ29年以上の寿命の延長が見込めるとしています。そのメカニズムは

  • 労働者の生産性の維持
  • 身体障害と入院のコスト削減
  • 慢性の長期にわたる医療に関わるコストの削減

ということであり、いわゆる「現役世代」が少しでも長くそれを継続できるか否かに「抗加齢医学」が貢献できるということです。

 

この提言が日本でもしも実行に移されれば、合衆国の人口は日本の約2.5倍、一人当たりの社会保障費ベースで比較すると日本の約1.2倍なので便宜的な計算ですが、

 

3.64兆ドル÷(2.5×1.2)=1.21兆ドル

1ドル=100円としても121兆円

 

これだけの健康管理に関わる予算が節約できる可能性があるということです。

地球規模で進む高齢化。その経済的な危機を回避するために抗加齢医学ができることは非常に大きいといえるでしょう。

ご興味のある方は是非レポートをご参照下さい。

 

Twelve-Point Actionable Healthcare Plan:A Blueprint for A Low Cost, High Yield Wellness Model of Healthcare

 

プレジデント・オンライン
2015/01/07

フェイスブックのタイムラインを眺めていると、見覚えのある記事が目に飛び込んできました。半年ほど前に雑誌プレジデント」に掲載されたオーソモレキュラー(分子整合)栄養学の記事です。保存用としてなのでしょうか、最近になってWeb版に登録されたようです。忙しいビジネスパーソンが読者の多数を占める雑誌ですから全ての層に広く読まれる、という訳にはいかなかったかも知れませんが、こうしてWeb版に収録されるとご紹介もしやすくなり有難いことです。

実は医師も知らない栄養のメカニズム「分子整合栄養医学」 (PRESIDENT 2014・6・30)

 

プレジデント、オーソ

 

 

この記事で一番ご理解頂きたいのは、この療法の日本でのトップリーダーのひとりである溝口先生の言葉にもあるとおり「慢性疾患では基本的に体内の栄養バランスの乱れが病気を引き起こす。逆に栄養の体内濃度を正しく調節すれば、体の働きも正常化し、さまざまな病気が治る」というところ。対症療法的にクスリで抑え込むのではなく、不調の根本の「栄養・代謝」を改善することで症状を根絶することを目指そう、ということです。

それには食物からの栄養補給では間に合わないことも少なくなく、時としてサプリメントや点滴に頼ることも必要ということです。

「この療法を受けられる全国の主な医療機関」として当院もリストアップされています。多くの方のご理解が得られることを願っています。

 
Happy People Live Longer!
2014/12/30

土曜日に参加した生産者イベント・めえしばミルク工房チーズナイト@FUSABUSA。千葉県鴨川市・めえしばミルク工房の太田和 誠・景子御夫妻。テイスティングさせて頂いたチーズはフレッシュ系を中心に個性豊かな出来栄えで、FUSABUSAオーナーの小野さんが素材の良さを生かした料理をアレンジしてくれたこともあり、大満足の夜となりました。

どちらかといえば朴訥としたご主人のトークも味わい深いものでしたが、特に興味を引いたのは奥様・景子さんの「免疫力を高めるウシを育てる」というお話。

通常の酪農では、家畜の感染症を予防するのにはやはり抗生剤を多用するのだとか。彼女はそれを「自然な形ではない」と感じたと。獣医さんにお願いして薬剤の使用を減らしたところ、ホメオパシー理論なども導入したもののやはり病気になり死んでしまう牛もでて、大変な時期を過ごしたとのことです。その窮地を打開する鍵となったのが「出来るだけ自然な状態で、慈しみ育てる」ということでした。

めえしば

「普通の牛のお産では母牛は頭を繋がれていて、生まれた我が子に顔を近づけることも出来ないんです。人間が仔牛を引っ張り出してタオルで拭いてあげている状況。ウチでは繋ぐことはせず、母牛になるべく任せるようにしています」

 

 「通常は出産直後に母子分離を行います。でもこれって大変なことですよね?ウチではなるべく自然な形で母子が距離を保てるようになってから徐々に行っています」

 

 「私がお嫁に来たときから牛は飼われていましたが、人間が近寄ると逃げるんです。それって悲しかった。私は、生まれた仔牛には最大限の愛情を注ぎます。そうすると、呼べば寄ってくる牛に育つんです」

 

 「時々牛の大きな背中に乗って、背骨周りをマッサージしてあげるんです。そのまま私が寝てしまうこともあって。気持ちいいんですよ」

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FUSABUSAオーナーの小野さんがインタビュー

 フロマージュブラン

フロマージュブラン

白カビチーズ 白ちゃん

白カビチーズ 白ちゃん

自然な形での酪農が軌道に乗ると、抗生剤を使わなくても病気にならない牛が育ってきたという。当初はご主人とも衝突があったというが、今では理解して下さっているとのこと。

ストレス系の医学論文を読みこなしている方はご存知なことですが、実験動物に与えることができる最大級のストレスの一つが「母子分離」です。引き離された親子は双方が大きなストレスを抱え、それによって腸内環境が激変するという研究もあります。

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黒カビチーズ 黒ちゃん

 

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14ヶ月熟成チーズ

 

牛は反芻動物です。4つの胃を持ち、その中に生息する大量の細菌によって植物(セルロース)から脂肪酸を生成する能力を身につけました。恐らくその細菌叢(フローラ)はストレスの大きな影響を受けるはずです。

牛を慈しみ育てる「めえしばミルク工房」での飼育法は牛のストレスを大きく減らして免疫力を高めることに成功し、良質な乳、あるいはそれを使った美味しいチーズなど、生産に良い影響があったことでしょう。

これはヒトでも全く同じこと。「メンタルヘルスが免疫力を高める」というのは、私が専門医認定を受けている「日本抗加齢医学会」のテーマのひとつ「Happy People Live Longer」とまさに軌をひとつにするものです。

「美味しいチーズが食べたい」と足を運んだイベントで、思わぬ収穫を頂いた気がしています。

(画像はFUSABUSAオーナー・小野さんから一部お借りしました)