顔面の筋力トレーニングの是非 様々な立場から

私は日本抗加齢医学会の専門医なので、年に4回、学会誌が送られてきます。抗加齢医学の最新情報が満載ですが、その中でも楽しみな記事が「誌上ディベート」です。ひとつのテーマをめぐって、抗加齢医学をベースにしながらも分野・立場の異なる専門家が「是」と「非」の立場で見解を披露します。

最新号で特集されていたのは「顔面の筋力トレーニングの是非」

2016-06-13

 歯科領域では、顔面の表情筋や咀嚼筋(そしゃくきん、かむための筋肉)などのエクササイズは若返りや摂食嚥下(食物を食べ、飲み込むこと)の面から強く推奨されていて「パ〇△ラ」などの専用器具も開発されています。またそれだけでなく、鼻呼吸とセットにすることで免疫力の向上や各種の病気の改善なども期待されていて「◇い▽べ体操」などはかなり普及してきていますね。いま私たちの領域で「顔面エクササイズ」を否定する人は少数派といっていいでしょう。

ところがこの誌上ディベートでは美容外科がご専門の先生が「表情筋の運動は顔面のシワを増やす。老化に伴う筋の拘縮(縮んで衰えてしまう)を助長するので推奨できない」とのご意見。

「外見をとるか、機能をとるかの問題か」と思われる方もいるでしょう。ところが抗加齢医学の立場からするとコトはそう単純ではないのです。

現在でもアンチエイジングというと「無理やり若返る美容外科のことね」と否定的な面のみ強調する向きもありますが、外見を整えることの効果は心理面にも及んできます。そしてメンタルの向上が免疫力などもアップさせる(逆に言うとネガティブなストレスは強烈に老化をすすめる)ことは多くの研究で示されていることです。

ということは、「身体だけでなくメンタルの健康が長生きにつながる」ということを理解していないと「美容外科など邪道だ」とばかりに表面的な判断をしてしまうおそれがあるのです。

自分の専門分野だけにとらわれることなく、多面的な見かたが出来るところがこの学会の醍醐味でもあります。

 

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